第五回「むくみの解消」

「さわやかお産~楽なお産を目指して」五回目

6.むくみの解消。

★脚のむくみ。

分娩近くになるとむくむ人が多くなり、特に脚がむくみやすくなる。
解消法には自力と他力のやり方がありますが、歩き疲れやだるさにも効きます。

●実技

★つま先回し4。

  1. 足が床から離れた腰掛け方をする
    爪先を内側と外側へまわして、動かしやすい(まわしやすい)を調べる。
    それがわかったら、次のようにする。
  2. まわしやすい方から、ゆっくりと10~15回、動かすようにする(写真10)。
  3. 次に、反対側へゆっくりと10~15回、まわすようにする。

これを午前、午後、夜の3回行う。

爪先を内側と外側へまわして、動きやすいほうを調べる。
それがわかったら、動かしやすい(まわしやすい)ほうから、10~15回まわして、次に反対側への動きを同じ要領で行う(図1)。

家庭で足底が床から離れるようにするのには、テーブルに腰掛けることになるが、それができないときです。
イスに腰掛けて両手で膝ウラを支えて足を浮かせて、爪先を内外へと回すようにする。
この動きを左右足ごとにします(写真11)。

★尻振り。

  1. 爪先をそらせて、踵にお尻を乗せる。 図2
  2. 踵とお尻が離れないようにして、腰をゆっくりと左右へ振るように動かす。
    60~90秒くらい動かすのを、1日2~3回行う。

図2は体重をかけた足指の揉ほぐしです。
なるべくお尻から踵を離さないようにして、腰を左右へ動かす。 腰を左右へ動かすと、折れ曲がった足指は上半身の体重がかかって揉みほぐされることになる。 腰を動かしていると足指に痛みがでてくるが、そのまま腰の動きを60~90秒続ける。

足指・足底・足背の構造による機能は、頭と背中や腰といった生体機能と関連している。
また足指から中足指節関節(チュウソクシセツカンセツ。足図のカラー部分)の部分は全身の安定性、 歩行と疾走時のはたらきに重要な役割をはたすところです(図3)。

腰を左右へ動かすと、脚全体に乳搾り作用(ミルキングアクション)がはたらく。 膝を折り曲げて爪先を反らせると大腿部と下腿が圧縮される。 踵にお尻を乗せて左右へ腰を動かすと、大腿部と下腿が捻じられるため一段と圧縮される。
それがミルキングアクションです。
ミルキングアクションによる圧縮作用で血液とリンパ液が強制的に流されて循環することになるので、むくみに効くのです。

むくみだしたころから動きをすると、ひどくならないですみます。
あきらかにむくんでしまったものには、足首と膝を折り曲げるので苦痛になったり、症状によってはできないこともあるので注意がいります。

★全身のむくみ。

脚のむくみは先の「つま先回し4・尻振り」で十分ですが、全身のむくみでかなりのものは、体全体を動かす方法で対処します。
仰向け4~7種類、うつ伏せ2~3種類、腰掛け4~7種類(計10~17種類)の実技から、その人に適した6~8種類を用いることになる。

それは基本と応用を覚えて動き方を誘導することになるので、プロの仕事です。
全身が楽になってスムースに動けるようになるのには、午前と午後の2回動いて2~5日かかります。

◆全身のむくみ、1日2回動いて、2~5日かかる。

7.分娩前の腰痛解消。

★予定日前、腰痛の完全解消。

予定日の4~6日前に、腰周辺部の不快を完全になくしておくと、分娩はとても楽になります。
この方法は楽なお産の決め手の一つといってもいいくらいです。 たとえ分娩時間が長くても苦痛は少なくてすむ。 予定日の2週間か10日前からはじめて、分娩4~6日前には徹底的になくすようにする。

それには予定日の2週間か10日前からはじめるのではなくて、6ヶ月目から、遅くても8ヶ月目には痛みをとる動きをします。 6ヶ月目あたりから動いてきたことが、分娩4~6日前の解消につながるためです。
ある一定期間動いて効果があるものと、急場しのぎに動いたのものでは、差は歴然としていますからね。

◆分娩4~6日前に、腰痛を完全に解消する。それには6ヶ月目あたりから動く。

★腰周辺部の不快を完全になくす。

ところが、妊娠体の腰周辺部の不快は特徴的であるため、6ヶ月目あたりから動いたとしても、予定日の2週間か10日前から行って、 不快を「自力の動き」だけで完全になくすことは難しく、ある範囲のものが残るのはやむをえません。
全部とれたとすればラッキーです。

仙骨、股関節、恥骨、尾骨といった痛みは妊娠体特有のもので、なくすのにてこずる痛みです。 それをなくすのには、人の手を借りた動き方が必要です。
これが自力で完全とはいかない理由の一つです。

そして痛みをなくすと、腰のほうが「どうもありがとう。 これでまた拡がることができるわ」と、骨盤が分娩の準備をはじめてまた痛みだすのです。 だから妊娠体特有の痛みなのです。これにはものの言いようがないですね。

そうなると痛みと解消のいたちごっこです。 骨盤の拡がりが分娩直前まで続いて、痛みを取ってまた痛くなるということの繰り返しです。
ですから、痛みはできるだけトルゾ~の気持ちでいることです。 痛みは少ないほうが分娩は楽ですから、できることはやるべきです。

◆予定日10日前からはじめて、4日前には腰周辺部から完全に不快をなくすと、お産は楽になる。

分娩4~6日前に腰痛を完全に解消するとお産が楽、ということは助産関係者も知りません。

8.産後の回復。

★回復A。

女性の人生でエネルギーを最大限に発気する。それがお産です。
母体から命が生まれてくるのには、相当な量のエネルギーが必要です。
あまりにも膨大な量のエネルギーが発気されるので、照明がエネルギーの視認に適していると、 5~7m離れたとこから分娩によるエネルギーが見える人もいます。

子宮がスムースに開くといいですが、全員がそうなるとはかぎらない。
多くの人が苦痛を経験している。いきみ・腹部の収縮・痙攣といったことを繰り返して、15~24時間、あるいは30時間かけて生まれてくる。
したがって全身はぐったりして完全に疲れきっている。

そうなると体の一部は無感覚に、あるところは鈍くなっているので、自分の体なのに他人のような感じになる。 分娩の影響で腹部、腰周辺部は自覚さえできないほどになってくる。
体のバランスは感覚によってコントロールされているので、無感覚の体を動かすのは少し危険です。

◆体は無感覚か、鈍感になっている。

つまりは、子宮の開きが遅い人ほど無感覚になりやすいということです。
分娩後にそのまま数時間すごすことができる助産院や自宅出産であれば、その間にある範囲は自然回復するので動くことに問題はないが、分娩してすぐに移動する場合です。

回復Aとは、無感覚や鈍くなった感覚を戻すためのものです。
体を動かすことで感覚を戻すようにするのですが、鈍く無感覚になっている体を自力で動かすので注意がいります。 痛みを感じにくくなっているので決して無理をしないで、慎重に動くようにします。
そして9ヶ月目あたりから練習しておくことです。

次のことを守って動くことにしましょう。

  1. 説明を詳細に理解して、その通りに動く。
  2. 顔見知りがいるときに、動くようにする。
  3. 動きにくい・動きがわからないときはすぐに止めて、反対の動きをする(右に動いてにぶさを感じたら、左に動くようにするの意味)。 両方とも動きにくいのであれば、その動き方は止める。
  4. あらかじめ練習して動きに慣れておく。また動きやすい種類を覚えておく。
  5. 動き方は腰2・腰3・顔そらし1・膝閉じ5の順にするが、動きやすいものがあるときはそれから動くようにする。

●実技

回復A
★〔腰2〕

  1. 膝を立てる。
    腰を上げて(青矢印)、4~6呼吸した後に、動きを止める。
  2. その後に、4~6呼吸、休む。

この動き方を、3回、行う。

解説(妊婦向け)。

膝を立てて、腰を軽く上げるようにする。

図4の左図は、腰の上がり方をわかりやすくするために、両手を腹部においたものですが、お腹に両手をおくと上げにくく、右図のように下においたほうが上げやすくなる。

感覚がにぶいので腰を上げても、上げた感じを受けないかもしれないし、上がっていないのかもしれない。 それをたしかめるために、顔見知りの人がいるときに動くようにします。

腰を上げているのは、4~6呼吸するあいだです。
その後に4~6呼吸休んで、ふたたび上げるようにする。

3回目に、腰を上げる感じが少し戻ってくるようになります。

(SE向け)。

腰2は、妊娠体の分娩テスト(適合)に使うもので、腰をスムースに上げることができると、体は分娩に適していると見なせる。
上げにくい・上げられない・上げるときに痛みが出るといった場合は、体は分娩に適していない状態といえる。

★〔腰3〕

  1. 膝を立てて、腰を軽く浮かす。
  2. 浮かした腰を左右へ動かして、動きやすい方を調べる。
  3. それがわかったら、動きやすい動きを6~8呼吸(約10~20秒)して、動きを止める。
  4. その後に、4~6呼吸、休む。

この動き方を、2回、行う。

解説(妊婦向け)。

膝立ての体型で腰を軽く浮かせて、左右へゆっくりと動かす。
左右へ動かすのは、横に滑らせる(スライド・赤矢印)ようにするのと、腰を捻じる(ツイスト・青矢印)ようにする二種類がある。

赤スライドと青ツイストでどちらが動きやすいのか、また左右ではどちらのほうに動きやすいのかも、わからないかもしれません。
そのときは、赤でも青でもいですから、左右両方に動くようにします。わかったときは、感覚にしたがって「動きやすい動きをする」ことです。

動きはゆっくりと行うようにします。
動いている時間は、6~8呼吸(約10~20秒)くらい続けて、それから腰を戻して、4~6呼吸くらい休んでから、2回目の動きをする。

産後8~10ヶ月すぎたあたりにお腹の上に赤ちゃん乗せて、あやすときがありますが、それと同じ気持ちになって動くといいでしょう。

2回動いた後に30~60秒くらい静止して、軽く体を動かして感覚をたしかめます。 感覚がわずかでも戻っていれば(正常になっている)OKです。

(SE向け)。

腰3の動きをセーブしたものが、腰2のテストで不適合となった体を救う動きになる。 腰を横に動かして効くのはまず背部、体側部、次に腰部の順になる。 動く目的は、痛覚の解消効果よりも運動効果のためです。

★〔顔そらし1〕

  1. 膝を伸ばしたままか、または立てる。
    顔をそらせて、4~6呼吸した後に、動きを止める。
  2. その後に、4~6呼吸、休む。

この動き方を、2回、行う。

解説(妊婦向け)。

膝を立てる(上図)、または伸ばしたままで(下図)、顔をそらすように動かす。
顔をそらして4~6呼吸してから、顔を戻す。

顔は大きくそらしてもいいです。
頭の重苦しさや、首の痛みに効果的です。

(SE向け)。

頭部、頚部、肩部と背部の一部に効く動きである。
顔そらし(頚部後屈)をすると腰椎、仙骨に連動するため動き方をスムースにする。

★〔膝閉じ5〕

  1. 膝を立てる。 図7
    左右足のどちらかを足元の方へ少し移動して、膝の位置をずらす
    (図8は左足を移動して、左右の膝にズレを作った例)。
  2. それを左右足ごとに行い、左右の膝を閉じる(赤矢印)ようにする。図8
  3. 痛みがなく閉じやすい方がわかったら、左右の膝を閉じる(青矢印)ように動かして、4~6呼吸した後に、動きを止める。 図9
  4. その後に、4~6呼吸、休む。

この動き方を、2回、行う。

解説(妊婦向け)。

膝を立てて、足をずらして膝の位置に左右差を作ってから、左右の膝を閉じるように動かすことを、左右交互に行う。
閉じると痛みが出る、動きにくいといったことがない動きをする。

分娩は骨盤を大きく開く(拡がる)ことになるので、膝の開閉には敏感に反応する。 「膝を開く・閉じる」動きが産後の体に合ってときは、一瞬にして股関節、仙骨などに強烈で刺すような痛みが出る。

したがって、この動き方がフィットしているのか、いないのかがすぐにわかります。
ですから痛みが出ないときは、その動きが体が必要としているものだということになります。

(SE向け)。

この動きは、骨盤の戻りの立ち上がり動作にあたるもので、これをすることで産後の骨盤の戻りが順調になる。
産前の膝関節開閉動作は、腰周辺部の不快を解消すると同時に、お産を楽にするための動きでもある。

産後の骨盤に直接的に響く動きであるため、合っていないときは瞬間的に強烈な痛みが出る。 この動きは生理痛にも効く。

Comments are closed.

Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project. TOTAL TODAY