第六回「子宮の回復」

「さわやかお産~子宮の回復」六回目

★回復B

回復Bは、分娩したあとの子宮をすみやかに回復するためのものです。 分娩は子宮が10cmくらい開いて、新生児の頭と体がスルッと出てくる。 子宮は回復力が弱いので、それほど開くと戻るのに時間がかかるのです。

回復Bは分娩した3時間以内に行うようにします。 回復Bについて、配布している資料をそのまま載せておきます。

★回復B(子宮の回復)。

分娩3時間以内に行う(腹式深呼吸・呼吸図)。

ア.仰向けで膝を立てる。

お腹を膨らませながら、息を吸う(左図)。 お尻を丸めながらお腹をへこませて、細めたくちびるから、 笛を吹く要領で、息をゆっくりと押し出すように吐く(右図)。

イ.腰を戻し、お腹を膨らませながら、息を吸う。

お尻を丸めながらお腹をへこませて、細めたくちびるから、 笛を吹く要領で、息をゆっくりと押し出すように吐きながら、 肛門を絞める。 呼吸図

呼吸図で示したように腹式深呼吸を連続16回行い、 偶数のとき、呼気で肛門を絞めるようにする。 肛門を絞めることが子宮の回復力になる。 お腹をへこませて、お尻を丸めることによる影響と効果は、次のようになる。

お腹をへこませて、お尻を丸める 息を吐きやすくなる。 お腹をへこませて、お尻を丸める 恥骨と尾骨が動く。

◆息を吐きやすく、恥骨と尾骨が動く。

恥骨と尾骨の動きに肛門を絞めると、子宮と膣が元の状態にもどりやすく、 分娩のため離れた仙骨と腸骨がもどりやすくなる。

9.小児一般病を軽くする。

生後90日以内に行うと、3才くらいまでの小児一般病にかかっても 軽くてすむといわれているものです。 脊柱上に軽く指先をすべらせるか、二指から五指までを揃えて、 指先を半回転させながら軽く刺激を与えるものです。

  1. 軽く指先をすべらせる。
  2. 指先を回転させる。

刺激は皮膚に軽く触れる程度のやわらかなものにするか、 または被服の上からする方法です。 その刺激が抵抗力を強めるのです。これを行った人たちに喜ばれています。 刺激は皮膚に軽く触れる程度のもので、強くする必要はありません。

一番いい方法は、風呂上がりの熱冷ましのときにすることです。 肌に直接かバスタオルの上からの刺激で十分です。

10.産後のケアー。

産後の経過が順調でないために悩む人がいる。問題なのは骨盤の戻りです。 そのためにさまざまな症状が起きてくる。 その代表例が頭痛、倦怠感、腰痛、肥満、うつ。 産後の回復が思わしくなく、うつ病になってついに子育て放棄の状態になることもあるという。 ゆっくりでもいいから回復さえしていれば、そうならなかったケースです。

骨盤の戻りが正常でないことが原因としても、回復Bを行っていれば、 そうはならなかったケースでもある。 あらゆることにおいて「楽な動きがない」のが原因です。

回復ケアーは操体法(一回目・注3参照)を使い頭痛、頚の痛み、肩こり、 背中のだるさ、腰の痛み、脚の重苦しさなどを解消します。 実技をするのにはそれなりの慣れが必要です。 実技のサンプルを載せておきます(サンプル図)。

11.必要なこと。

★繰り返し。

妊娠体の腰周辺部の痛みは取れば取るほど、次から次へと痛みが出てくるというのが特徴です。 その痛みは分娩の準備のための組織的な変化で起きるものです。 仙骨の剥離が腸骨の開きの準備であり、腸骨の開きが分娩の準備てあるため、 準備のために生じている痛みを取ると、ハ~イ待ってましたと骨格が動いて、 さらに準備するためまた痛くなるのです。

このように、痛みをとってまた痛くなるというように剥離、開き、 痛みの繰り返しが分娩直前まで続くのです。 つまるところ腰周辺部の痛みの解消は、次の痛み解消の準備なのです。 ですから取っても取ってもまた痛くなる。このことからも6~9ヶ月目 の腰周辺部の痛みの解消が、分娩を軽くするという根拠になります。

◆痛みをとると骨盤が開き、また痛くなる。

妊娠体の腰周辺部の不快には、ちょっとやそっとでなくならないやっかいなものもある。 そのやっかいさは、一般の腰痛とはあきらかに違うもので、仙骨、大転子付近外側、 坐骨付近などにある痛みはやっかいさの代表です。

痛みには自力の動きだけではなかなか良くならないものもあり、 こちらが手を貸すことてよくなるものもある。 よくなってもまた痛みがでてくる。このケースは1/10~15人はあるようです。 朝起き7~10分タイプはこれに属している。

頭痛、肩こり、腰痛、むくみといったものを、自力の動きだけで完全に解消できるのは、 1/7~15人くらいでしょう。どうしてもある範囲のものは残ってしまう。 それでもなくしたことで楽にお産に近づいたのはたしかです。 その意味においても不快はなくすようにしたほうがいいです。

◆不快を少しでもなくすようにする、それが楽なお産への第一歩。

★妊娠体は仰向け寝が基本。

膝まくらで仰向け寝をすると、次のようになります。

  1. 3~4時間グッスリ寝ができる。
  2. おなかの重さがゼロになる。
    それは最良の休息でエネルギーの回復につながる。
  3. 膝を高くした横寝が、逆子の防止になる。
  4. 膝を高くした横寝が、逆子もどしの手段になる(注12)。

仰向けに寝ると血液の流れが詰まるので体によくないと解説している本や、 お母さん教室で教えているところがある。 代りにシムスのポーズ(シムス図。注13)で横に寝ることを勧める。

シムスのポーズが適しているとすれば、3~4時間くらいはグッスリ寝ることができるはずです。 ところがこのポーズで寝ている人によれば、すぐに窮屈さを感じて寝返りをうつという。 窮屈であれば寝づらいので、眠りが浅くすぐに寝返りをうつのはあたり前です。 横寝が体にあっていないあきらかな証拠だ。

そういう事実があることを調べもせずに、シムスのポーズを勧めているとはあきれかえってしまう。 しかもお母さん教室で教えているとは、とんでもない間違いをしている。 いったい何を考えているのか。

どんな理由があっても窮屈さを感じる体型で寝るのは望ましくない。 お腹の窮屈さは分娩を長引かせることにもなる。 そんなことはお母さん教室のすることではない。

妊娠体は仰向け寝ができてこそエネルギー補給が順調になり、 循環もスムースになるというもの。 さらに仰向け寝ができることで横寝の有効性が生まれてくるのです。

仰向けになってグッスリ寝ることができるので、逆子になるのを防ぐことができるのです。 母体が窮屈なときは胎児も窮屈ですよ。 窮屈だからこそ、窮屈さから逃れるように体位を変えるのです。 横寝をして骨盤が締めけられる体型では、 お腹の中でも楽な体位になるように動くのは当然でしょう。

母体(特に骨盤)が楽と感じた体型であれば、 お腹の中でも自然に生まれるための姿勢をとるようになるのではないでしょうか。

◆仰向け寝ができるから、横寝が役立つ。

★お腹の重さがゼロ。

まくらで膝を折り曲げて寝ると、お腹の重さを感じなくなる。 つまり重さがゼロになるのです。 体が重く感じているときだけに、仰向けでお腹の重さがゼロになるのは 母体にとって理想的です。

膝まくらで仰向けになった人たちを見ていると、 その表情や動作から本当に楽と感じているのがわかります。

仰向けになると、お腹の重さは腹部全体で支えるため分散される。 したがってある部分の重さは1/全体分になるので、これといった重さを受けないですむことになる。 たとえば、立っているとお腹は重力に引かれて下の方へ一方的に下がるため、 重さをまともに感じるようになる。 仰向けになると全体に分散されて数百分の一になるので、 あたかも重さがないように感じるのです。

今まで重かったものから開放されると急に眠くなってきます。 お腹への圧迫感がなくなると、交感神経の働きから副交感神経の鎮静作用になるためです。 ですから膝まくらで仰向けになると1~2分で寝てしまう。 それは仰向けによる効果の証です。

◆仰向けになると急に眠くなるが、そのまま寝よう。

これから妊娠を予定される方は、次のことを覚えておきましょう。

楽と感じるのは感覚で、頭で考えたものではないのです。 これを間違えるとお産の楽に影響しかねないですよ。 感覚とは正確には体性感覚(Somatic Sensation)といい、 それが感覚とか、体感と言い表されているのです。

体性感覚(感覚)として楽と感じたことは、体にとって望ましく必要なことです。 楽でなければ「体は楽とは感じない」ですからね。 それは原始的体性感覚(今の感覚を原始時代まで遡ったときのことをいう) からはじまっていたのです。

原始的体性感覚は時間的な経過(歴史)においてさまざまなことを感じ受けとめ、 さらに磨きがかかって現在の感覚になったのです。 これは筆者の恩師・故橋本敬三先生の口癖でもあり、 それは師による操体法(操体法についてはいずれ説明)に引き継れています。

◆原始的体性感覚は知っている。

★エネルギー。

仰向けで「楽に寝ることができる・できない」は、妊娠体にはとても重要なことです。 仰向け寝をすることでエネルギーが補給(回復)して疲労が回復するのです(注14)。

生命の発生と維持はエネルギーによって成されている。 つまりエネルギーによって命は保たれているのです。これは紛れもない事実です。 ですからエネルギーを否定することは自らを否定することにつながるのです。

消費したエネルギーは回復(移入・補給)しなければなりません。 エネルギーは睡眠しているときに回復します。 疲れていても寝ると元気になるのは、それによるものです。 それには仰向けで楽に寝れるということが、大いに役だっているのです。

母体のエネルギー補給は新しい命にとって必須条件です。 そのエネルギーは新生児として過ごす3~7日目の成長に関係して、 3ヶ月目あたりまでの成長と、3歳ころまでの頭脳・意識の成長・ 内面性と自我の芽生えの基本になっている。 それが5~7才ころまでの人間性を育てて、将来の人間形成へとつながるのです。

ですから母体のエネルギー補給がスムースであるのかないのかは、 子供の一生を左右することになりかねないこともあるのです。 十分に満ちた補給が必要です。それはお腹の重さゼロによる眠りがとても重要になってくる。 それを可能にするのは楽に仰向けになることができる、この一点にかかっているわけです。


◆注12

仰向け寝、横寝。
楽に仰向けに寝ることで、逆子になるのを防ぐ。
楽に仰向け寝することで、楽な動きが逆子を戻す一つの方法になる。
楽に仰向けに寝ることで、横寝が逆子をもどす手段になる。

◆注13

シムスのポーズ(Sim’s position・シムス体位)。
シムス図は、検査しやすくするための体位で、横寝をさせるためのものではない。

◆注14

エネルギー(気)。
エネルギーを一言で説明するのは難しい。
エネルギーは水に似て高いところから、低いところへ流れる。

一つの箱に気体を満たしたとしよう。
気体ではそれ以上箱に詰めることができないが、エネルギーはできる。 さらにもっと詰めることもできる。これがエネルギーの質の一つである。

さらにもっと詰めることを繰り替えしていると、徐々にエネルギーは光を帯びて、肉眼でも見えることがあり、見える人もいる。 その状態になると暖か味を帯びて、触れるとブヨンブヨンとした感触を受けるようになる。

詰め込みをさらに繰り返してくると、物質になる。

一つの箱に満たしたものとさらに詰めたものをエネルギーが高く密度が濃いという。

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