「操体法・体感」パソコンソフト

商品のご注文からお届まではこちらをご覧ください。

動きやすい動き方、楽な動き方をして、頭痛、肩こり背部痛などを解消する方法があります。実技の基本は快適な動きですから安全です。 したがって誰でも安心して行うことができるということです。
その方法をより効果的にした新しい操体法を、わかりやすく学べるようにパソコンソフトが作られました。 従来の書籍ではあらわしきれなかった詳細な部分まで豊富なイラストによって解説されています。 初めて操体法に触れる方からプロの治療家まで、充実の内容にご期待ください。

著者:茂貫雅嵩
製作:株式会社エヴァクリエイト
価格 5,000円(税別)

【目次】

  • はじめに
  • 部位別実技
  • 効果
  • 実技の流れ
  • 動き方
  • 全実技
  • 歪み
  • 解説
  • 一人で動く
  • 体観
  • 年表
  • 参考文献
  • 製作・著作

歪み(CD-ROM 茂貫雅嵩著より)

「操体法・体感」 CDROM 茂貫雅嵩著より

1.歪み(ヒズミ)。

体の歪みは、体への物理的な影響・生体機能の影響・精神的な影響でできる。

体の歪みには、体が傾いている、捻じれている、体型がずれているといった全身的なものと、頭、首、肩、背骨、腰、骨盤が傾いているズレている、 脚、膝、足首などの左右に違いがあるといった部分的なもの、体型は正常だが感覚的にすっきりしない、体調がよくないといったものがある。

それらは、筋骨のかかわりによる歪みである。

  1. 全身的な歪み。
  2. 部分的な歪み。
  3. 内圧の変化。

背部の筋肉に左右差があるといったものは、よく見ると違いがわかる。 それに対してコリや硬結といったものは、見た目にはわかりにくい。 触れて調べることになるが、これも立派な歪みだ。 打身、筋疲労などによる硬さなども同じだ。

しかし体型はととのっていて、調子がわるいというのは、見た目にはわかりにくい。

  1. 見分けられる歪み。
  2. 触診で調べる歪み。
  3. 見分けられない歪み。

筋肉は柔らかいものなので、軟組織と呼ばれ、骨は硬いので硬組織と呼ばれている。 前者にコリや硬結があると、後者に構造的な変化が表れ、後者が変化すると、前者にコリや硬結が発生するという表裏の関係にある。

2.歪みができるわけ。

その1

歪みはなぜできるのだろうか、いくつかの例を上げてみる。

腰をかがめて物をとる、片手を上げる、寝返り、起き上がる、立ち座る。 このとき重心の掛け方、息のつき方、力の入れ方と抜き方、気持ちの持ち方などが不適切であったり、無意識(あるいは習慣的)に繰り返される動き、 ある姿勢を長時間保つことなどが原因で歪みができる。

そして、偏食、過食、アルコールの飲み過ぎも原因の一つだ。

  1. 重心の置き方、掛け方。
  2. 体の動かし方。
  3. 呼吸と動き。
  4. 力の入れ方と抜き方。
  5. 気持ちと動き。
  6. 無意識的に繰り返す動き。
  7. 動静体で一定姿勢を保つ。
  8. 偏過飲食。
  9. 疲労による骨格間の開き(例、腓骨と脛骨の開き)。

その2

動きとは、重心を移動させることであり、安定とは、重心と中心がより近づいているか、一致していることをいう。安定した動きは、効率的でエネルギーに無駄がない。 体の動きの基本は、前後に倒す(前後屈)、左右へ倒す(左右屈)、左右へ捻じる(左右捻転)、遠心力を加えた牽引と、求心力を加えた圧迫の四種類、八方向への動きだ。

運動の基本
  1. 前後屈。 (図1)
  2. 左右屈。 (図2)
  3. 左右捻転。 (図3)
  4. 関節軸に対する牽引と圧迫。
図1 図2 図3

体を前後左右へ倒す、左右へ捻じるときの重心のかけ方がまずいと、歪みができやすい。 動きで歪みができる原因の一つだ。股関節や腰周辺部の歪みのほとんどは、これでできる。

前屈するときは、後側に重心をかけて倒し(図1)、体を横に倒すときは、倒す反対側に重心を置き(図2)。捻じるときは、捻じる側に重心を置くようにする(図3)。 体を伸ばすときは、伸ばす側に重心を置く。

これが体を動かすときの重心のかけ方の原則である。 重心のかけ方が合っている動き方は、体が楽に感じる。

その3

腰に中心を求めた動き、腰を安定させた動きはバランスがとれている。バランスがとれていると力が分散しない。力が分散しない動きは効率的だ。

腰が不安定だとバランスがくずれて、力が分散し腰が引けた状態になる。

それを「および腰、へっぴり腰」といって、中途半端なことをいい表すたとえになっている。中心がズレて不安定になっている腰はバランスを保てない。

および腰で重い物を持ち上げたり、姿勢を変えたりすると、バランスのくずれをカバーしなければならないために、どうしても特定の個所に力が入ることになる。 特に、重い物を持ち上げるときは、瞬間的に過大な力が入るため、組織に損傷を起こしやすい。そのわかりやすい例がギックリ腰だ。

その4

体は楽な動き方をしないと、特定の個所に筋力が入るため、部位と部位を結びつけている関節に負荷がかかったり、ズレることになる。 関節がズレたまま使いだすと、ズレの分を補うために、どうしてもある個所に緊張を作りだすことになる。

さらにその緊張が残ったまま使い続けると、そこに疲労が蓄積してくる。 その疲労が解消されれば問題はない。解消されないまま継続すると、疲労排泄物を蓄積することになり、それが硬結などを作ることになる。

硬結や凝縮、ズレたままだと、さらに特定個所への筋力ということになるので、それが次の歪みを作る原因にもなる。動く前に歪みをとることと、楽に動くことを勧めたい。

その5

動作はある部分で支え、他の部分に力を入れることで可能になる。いわゆる支持と運動である。言い換えてみると、ある部分を緊張させて、他の部分を弛緩させることでできるようになっている。生活は、それを繰り返すことで成り立っている。そして、動きは息を吐きながらというのが原則になる。

つまり、呼気で動くということ。
ただし、最大筋力を必要とする動きでは、息を止めて行う。

生活というのは、体を無理に使ったり、傾いたまま動いたり、筋力が分散する姿勢であったり、呼吸と動きが合わないなど、歪みを作るような場面が多い。 仕事がらやむをえないこともあるだろう。このように、歪みの発生には、避けることができない一面もある。

その6

呼吸、食事、気持ちの持ち方と動き方でも歪みはできる。一例を上げてみよう。

粗食だが呼吸は腹式で大きく、気持ちよく動くことを心がけている人と、美食で呼吸が浅く、動き方の原則を無視した人では、 前者は、歪みが少なく健康・長生きタイプで、後者は歪みをたくさん作って進行し、やがて調子がくずれ、すっきりしない毎日を送ることになる。

現実には、それだけではすまないだろう。

気持ちの持ち方ひとつで、健康に重大な影響を与える。というのは「気持ちの持ち方ひとつで、体と表情は明るくも暗くもなる」からだ。 それは気持ちの持ち方ひとつで、動きがスムースになる・ならないという意味でもある。

本当は、その動き方で十分なはずが、効果が現れなかったり、アクシデントが起きたりする。それは、気持ちの持ち方とは「心の働き」を意味し、 体の動きとは、体の働きのことであり、二者は連動しているからだ。

昔から言われている「心焉に在らざれば視れども見えず(心ここにあらざれば、みれどもみえず)」や、「心身一如(心とからだは一体の境地)」は、それらを言い表したたとえだ。
体の動かし方でできた歪みは、体の動かし方で、緩めて解消することもできるが、精神面の影響による歪みは、緩めることさえ難しい。なぜだろう。 精神が肉体に与える影響は、圧倒的に強く大きいからだ。
そして、少々のことをやっても効き目がない。

その7

疲れてくると筋肉が緩む。そして骨と骨のあいだが拡がってくる。そのいい例が、朝と夕方の「身長差、すねと足のむくみ」だ。身長は朝よりも夕方の方が1cm以上も低くなる。

腓骨と脛骨が拡がってくると、すねはむくんできてだるくなってくる。足のむくみは靴がきつく感じるようになることでわかる。 靴を選ぶなら午後3時というのは、そのことを言い表している。

頭の骨も緩くなる。緩くなると、気力が低下してきて、ガンバリがきかなくなってくる。 それを経験的に知っていた昔の人は、骨の拡がりを防ぐために、「捻じり鉢巻」というものを使った。 鉢巻をすると頭の拡がりを防ぐことができるので、気力の失われ方が少なくてすむ。

すねに巻いて使ったのが、ゲートルだ(guetre)。

ゲートルをすねに巻くと、腓骨と脛骨の拡がりを防ぐことができるので、活動しやすく長続きする。すねが拡がった分だけ、脚長が短くなり疲れやすくなる。 ゲートルは、今風に言うとサポーターにあたる。ゲートルは旧日本軍が使っていた。

3.一側優位性。

体には、一側優位性(イッソクユウイセイ)というものがある。 たとえば手は右利き、軸足は左というように、機能の役割が一方が優れていることをいい、ラティラリゼーション(lateralization)という。 運動機能は大脳半球の支配を受け、大脳の右側と左側が、体の左側と右側を支配している。一方の働きが優れているわけだから、機能差ということになる。 動き方がはっきりしているので、見た目にわかる。

4.避けられない動き方。

動きが窮屈で不快になるというのには、それなりの理由がある。生活するということは、同じ動きの繰り返し、習慣的に体を使う、社会環境への順応などさまざまな場面が展開している。

社会環境への順応には、無駄とわかっていてもしなければならいものや、無理でもやらなければならないなど、避けることができない一面がある。
そうしたことが、体に窮屈感を生み、体にクセとして記録するようになるのだ。
そしてそれらは確実に、重心の移動を制限し、偏りを作ることになる。

5.無意識の動き。

利き手、利き足、軸足は、どのようにして決まるのだろうか。これは軸足、こちらは利き手と考えながら動いているわけではない。 無意識の内に自然に動いている。使いなれた自然な動きの結果が、利き手、利き足、軸足である。すべて無意識の動きだ。
無意識の動きは、すべて「動きやすく、楽な動き」ばかりで、窮屈で無理な動きは一つもないといえのではないだろうか。

その一番いい例が、声をかけられて後ろを振り向くとき。無意識的な動きの典型である。 階段の上がり下り、靴下をはく、スーツを脱ぐといったこともそうだが、動き方やポーズの構え方にしたって、全部、無意識で行っている。
こうしてみると、無意識の動きは「動きやすい動き」である、ということができる。
動きにくければ、しないはずだ。

このように、日常の動き全部が動かしやすい動き方をしている。
それを意識して行っている人は、まずいない。大多数の人は起きているときも寝ているときも、無意識で動いている。
それが証拠に無意識の動き・動きやすい動きも、痛みを感知したときは、動きを止めて痛くない動き方を探りだすようになる。

そのことから、無意識の動き・動きやすい動きは、バランスを計っている動きということができる。だから、不快な動きはその人をアンバランスにする。

無意識の動き方について、注釈しておきたいことがある。
意識的に体を動かすことを心がけている人たちがいる。ごくわずかな数ではあるが、世間から見ると例外的な人たちである。
意識的に体を動かすことの意味、その必要性を十二分に知っている人たちだ。


歪みができると

1.歪体。

歪みができるとどうなるのか。

結論から先にいうと、健康そのもので長生きするのと、病体にまでなるケースに別れる。歪みは、正体な体を、歪体(ワイタイ)にする。正体が歪体になるのだ。

正体であれば感覚は正常で、スムースに動き、形は整っている。それが歪体になると、歪んだ分だけ動きにくい感じになり、動きにスムースさが欠け、形も変化してくる。 それを「形態と運動力学の変化」(形と動きの変化)という。

時には、三種類が同時に起きることもある。

  1. 歪体になる。
  2. 感覚が変化する。
  3. 形が変化する。
  4. 動きにくいと感じる。

形と動きの変化の一例を上げてみよう。

関節の位置が正常であれば、バランスがとれているので、筋肉と骨格の関係も正常といえる。感覚、体型、動きは変化しない。 関節の位置がズレてくると、筋骨の関係がアンバランスになるため、関節周辺部や筋肉は緊張してくる。

関節の動きは緊張している側に、制限を受けるようになる。さらに拮抗筋が異常緊張して完全に弛緩しない場合は、反対側への動きが制限を受けることになる。
制限を受けると動き方はせばまり、動かすと違和感が生じるため、動きにくい、スムースに動かないといったことになってくる。感覚、体型、動きの変化だ。

ためしに、顔を左右へゆっくりと向けてみると、向けやすい方と、向けにくい方のあることがわかる。向けにくいのは動きに制限を受けているためで、これが動きと感覚の変化だ。 これは体の歪みによるものだから、歪体による左右差ということができる。

この動きと感覚の変化が、観察と改善の重要なポイントになる。形の変化は形態観察で見分けたり、触診で調べることになる。 運動力学の変化は「動き方」で調べて、改善法で対処することになる。

小中学生の姿勢、自覚症状などへの取り組みも、ここから始まる。

2.感覚異常と不快感。

歪体になると感覚異常が発生する。感覚異常とは「気持ち良い」の反対側にあるもので、「不快感」と表現している。 不快感は、体を動かす・動かさないに関係なく、不快と感じる感覚のことをいう。

その代表例を上げてみる。

違和感がある、快適でない、調子がわるい、重苦しい、体が重く感じる、だるく感じる、動くと痛い、動きにくい、スムースに動かない、 動くと体がきつく感じる、動くのがおっくうだ、体が張った感じがする、

歪体になってもごく希に、不快感が発生しない場合がある。7年過ぎても不快感がないという例もある。本来、発生するはずのものが、なんらかの要因で潜在化したようだ。
そうすると、不快感がないので、正体と見なされることになるが、そんなことはない。そのような場合でも、体を動かすとわかるし、触診でもわかるようになっている。

もちろん、そのためには慣れが必要だ。
動きと触診、この二つが歪みを見つけ不快感をなくすための、奥の手である。

歪体になって発生する初期の不快感は、何となくという程度の感じなので、ほとんどの人が気がつかないでいる。 敏感な人や注意深い人は、わずかな不快感にも慎重になるので、それ以上に進行しないですむ。不調なままでいて、いつのまにか消えるということもある。

うまくバランスがとれている人だ。

  1. 感覚異常・不快感が発生する。
  2. 不快感が発生しないこともある。
  3. その場合でも、動きと触診で見分けられる。

3.歪みの定番。

歪みがある場合、ある範囲の不快感があるものと考えて取り組んだ方がいい。頭が重苦しい、首や肩がこる、背中が重苦しい、腰がだるいといったものは歪みの定番だ。 それでも単に不快感だけのときと、不快感と自覚症状が同居することもある。前者は、初期の歪み発生の段階で、後者はすでに歪みがある人だ。 そしてほとんどの人は、まちがいなく後者に属している。そのことに疑いの余地はない。

歪みと自覚症状の関連は、次のようになる。

歪みがあると感覚と体型が変化する。だから背部から見て、首すじと背骨に捻じれや傾きがあれば、首、肩、背中、腰などに不快感があることになる。 それとは反対に、首すじ背骨がまっすぐで、捻じれや傾きがなければ、不快感はないことになる。

ところが実際には、捻じれや傾きがなくても、不快感があるというのが普通だ。 そうすると、首すじ背骨の捻じれ傾きを正常に戻すと、不快感はなくなるという理屈になる。
まったくその通りで、載せている実技はその原理にもとづいている。

それでは、首すじ背骨の捻じれ傾きを、そのままにしているとどうなるのだろうか。
まず、その傾きが神経や血管を圧迫する。続いて、背部の筋肉が緊張するため、その緊張も血管や神経を圧迫し、 先の感覚異常より変化した異常感覚を発生させ、内蔵機能の働きを悪くする。

  1. 自覚症状は、歪みの定番と考えよう。
  2. ほとんどの人に、歪みがある。
  3. 歪みを解消すると、不快感も消える。
  4. 歪体のままでいると、次に進む。

4.バランスを保つ感覚。

歪みが小さい場合は、歪体になっても、気がつかないのことが多い。やや敏感な人でも少し後で感じだす。 ところが「感覚や気分に忠実な人」はすぐに、いつもと違うことに気がつく。
感覚や気分に忠実な人は、表情が明るく、落ち着いた雰囲気を持っている。

感覚や気分に忠実になるためには、注意深さが必要だ。この注意深さが心身の健康に対して、何かの役割をはたしているようだ。

健康とは、呼吸(息)・飲食(食)・運動(動)・精神活動(想)の四項が原則にそって行われ、環境に適応することで成り立っている。 したがってその人の健康は、その人が作り上げて維持するもので、その人しだいで良くも悪くもなる。

四項のことでよく聞かれることに睡眠と排便の件がある。四項の実践とは、起きている・意識していることを表し、 食、動、想の活動が止まっているときを睡眠とみなし、食の最後の段階が排便となる。

四つの行い方は厳しいものではない。つまるところ、バランスが保てる範囲内でいい。それを守ってさえいれば、体に影響を与えるようなことはない。 そうでなかったために不健康になったのだ。そうはいってもほとんどの人は、自分のバランスを保てる範囲がわからないのだから、しかたがない。

ところが、わからないのに健康な人がたくさんいる。ここにヒントと答えがある。その人は、バランスを保てる範囲はわらないままに、調和していたということを物語っている。

その人たちを調べてみると、できるだけ感覚に従った生活をしている。
感覚に従うというのは、感覚に同調しているということを意味する。
感覚に同調している人は、内面性が安定していて、落ち着きがある。

感覚は微妙なものだ。それに同調しようとすると、微妙な働きが生みだされてきて、それがバランスを保つ役割をする。

バランスの保てる範囲やレベルというのは、人によって異なるので、まず自分のレベルを覚え、他人のコピーは通用しないということを知ることだ。 特に心の働き、明るい気持ちの持ち方、精神を安定させるといったことは必要だ。

精神面の不適応による歪みは、体の動きや飲食からの歪みよりも、一段と面倒な場合が多い。

5.感覚・体型・動きの関係。

感覚・体型・動きの三つがお互いに影響するという関係には、二つの側面がある。一つが他の二つを悪化させるということと、一つが他の二つを回復させるということ。

たとえば、感覚が変われば、体型と動きに「良い影響と、悪い影響」を与えるという、相関性と相補性の働きがある。この二つのかかわり方を、同時相関相補性という。 わかりやすくいうと、良くもするが、悪くもするという関係のことで、その両方の可能性があることから、これを可逆性という。 健康と不健康の間にはそれが存在する。だからこそ、体が回復するのだ。

感覚
動き ─── 形態

歪を調べる

1.歪みの調べ方。

体の歪みを調べるのは、難しくない。

調べる方法は眼で観察する(視診)、触れて調べる(触診)、動かして調べる(動きテスト・動診)の三種類がある。 調べ方に、東洋医学の診断方法と似ているものがあるので、混同しないように注釈としておいた(注1)。

歪みの見つけ方 表 現
(1)見て調べる 形態観察・体観。
(2)触れて調べる 触診。
(3)動かして調べる 動きテスト、動診、運動分析。

(1)見て調べる。

眼で見て調べることをいう。

望診ともいう。たとえば、頭は傾いていないか、肩の左右の高さは、背骨はまっすぐか、背中は、腰の左右の高さは、 膝の高さはといったことを見分けるために行い、顔色を見たり皮膚の色やつやを見るということもする。

ここでは体観として、静止体と運動体の観察を載せてある。

(2)触れて調べる。

指先や掌で触れて調べることをいう。

掌や指先で筋肉のなだらかさや柔らかさ、筋肉の左右の均等性、硬結、コリ、凝縮、筋肉の隆起、背骨の陥没、皮膚の温冷熱、張りや弾力、本来ならばなだらかな曲線を描いているはずの背中、腰周辺部になだらかさが欠けていて、デコボコになっていないかなどを探りだすことで、触診ともいう。

ベテランになると、軽く触れただけで何の病で、いつごろ始まり、今どうなってるのかをピタリと言い当てるというから、すごい。

(3)動かして調べる。

体を動かして、動いたときの感覚がどうなっているのかを調べることをいう。
たとえば顔を左右にゆっくりと向けてみると、向けやすい方と、向けにくい方のあることがわかる。 動いたときの感覚というのは、「動いたときの本人の感覚」のことで、動かした人の感覚をいうのではない。

ここのところを間違わないようにしてほしい。
動き方には「自分で動く、人に動かされる」の二通りある。

動いて感覚を調べるというのは、操体法だけが行っている独特な診断方法で「動きテスト、動診、運動分析」という。 動診は世間のあらゆる治療法と健康法にもない。動いて調べるのであれば、体を動かせる人であれば誰にでもできる。

2.歪みを見つける。

体を真中から左右に別けて比べてみると、おどろくほど差があることがわかる。
たとえば、頭の傾き、肩の左右の高さ、背中の左右差、背骨はまっすぐか、骨盤の左右の高さ、膝の曲り方はどうかというように、違いを探しだしたらきりがない。
まるで、体の左右は同じようにできていないかのようだ。実はその通りで、同じようにはできていない。この見方を形態観察・体観(視診)という。 それらの違いには一目でわかるものと、詳しく見なければわからないものがある。

ときおり、わずかな違いはあるが、全体的に均整のとれた体を目にすることもある。いわゆる「バランスのよい体・均整のとれた姿勢」というものを眼にしたときだ。

体は、二本の足で立って動くようにできている。動きとは、体をさまざまに変化させることでもあるから、捻じれ、傾き、隆起、高低差、左右差といったことが起きてくる。
また体には運動系というシステムと、連動性という働きがある(注2)。そのためにある部位に発生した歪みは、運動系と連動性に乗って他の部位に影響を与えることになる。 下部の歪みが上部に歪みを作り、上部の歪みが下部に影響するというように。
バランスとは全体と部分の、そして部分と部分の調和を意味する。
運動系・連動性・バランスの意味からも、観察は全身的に行う必要がある。

3.静止体と運動体。

観察は、まず、静止体の立位と腰掛けた姿勢(椅坐)の正面・側面・背面を見ることから始まる。
慣れてくれば、左右の違いはすぐにわかるようになる。体は二足立で動くようにできている物理体・構造体であるから、動いたときの体も観察する必要がある。

動きによる観察は、動きの特徴やクセを調べるものと、動き方を調べる方法がある。実技では動的な面も調べている。

歪みが、すぐに健康のよしあしに直結するということではない。それでも歪みを放置していると、不健康行きの片道キッブになることは事実だ。歪みのままというのは、避けたいものだ。

たとえば今、学校で問題になっている子供たちのことも、この方法を用いることで防ぐことは可能だ。

4.体と心は表と裏の関係。

生活には、緊張することが常にある。

少し緊張するのはいいとしても、それが持続してくると問題を生みだす。
持続的緊張に慣れていない精神部にとっては大変だ。ストレスが病気を作ることは知られている。 驚愕、怒り、過度の精神的緊張は体を硬直させ、食欲低下などを起こし、それが継続的であったり、度がすぎると生体機能に変化を起こす。

精神的にいやなこと(ストレッサー)が起きると、当初は、首、肩、胸背部の筋肉は緊張(ストレス)して変化を起こす。 この時、敏感な人は、なんとなく首と肩が重苦しい、どうも頭がすっきりしないといったことを感じるようになる。

それが続くと眠れない、後頭部が重苦しいといったことにつながっていく。
そこまでくると次の段階、極端に緊張の程度(レベル)が高くなる。

背中がこわばり脊柱起立筋が緊張し、不眠症、ヒステリー、いらつき、食欲低下、便秘、発汗と続くことになる。 この事実は、今から2400年も前に「病は生体とそれを取り巻く環境との関係で起きる。 病気にならないためには、良好な精神状態を保つことが大切だ」とヒポクラテスが説いている。

ストレスは大昔からある、良好でない精神状態なのである。

5.見えないものの影響。

精神、心といわれているものは、眼に見えない。だが、その働きについては、心配ごとができたとき「気持が動揺」するなどで知ることができる。 実際、その動きは体に驚くほどの影響を与える。体から心へよりも、心から体への方がまったくストレートなのだ。

まるで心と体はピッタリとくっついているみたいだ。
東洋医学では昔から、「喜は心を傷り(やぶり)、驚は腎を傷り、怒は肝を傷り、憂は肺を傷り、恐は腎を傷り」と言われている。当初の傷りは、影響と考えるとわかりやすい。

それが持続すると、生体のどこかにキズがつくことになる。つまり「見えないものが(精神的緊張)、見えるもの(体)に異常緊張」を作りだしているのだ。
それが内的要因、心因性といわれるものである。

注1

望診(本人の様子、顔の気配や色、舌の様子、体の形や姿勢を観察する)。 聞診(声の様子を聞き、においをかぐ)。 問診(体の調子、寒熱、不快などの必要なことを聞く)。 切診(脈をみる、胸や腹、背中に触れたりして触診をする)。

注2

運動系。
体の各組織を機能的に、運動系と非運動系に別けて、運動系を身体の基礎構造と呼ぶ。

身体 非運動系 平滑筋(自立運動系に支配される)。
運動系 硬組織 骨・軟骨。
軟組織 横紋筋、腱、腱鞘、筋膜、関節を形成する内容と、
関節を外から包む嚢、靱帯、皮膚の一切。

連動性。
運動系と非運動系、硬組織と軟背式は、ともに表裏の関係にあって互いに関連し合い、同時に、互いに補う関係にもある。前者を「相関」といい、後者を「相補」という。

解説

1.テスト(動診・運動分析)

顔を左右へ向けてみると、向けやすい方と、向けにくい方のあることがわかる。

図1 図2

また仰向けで、立てた両膝を左右へ倒してみると、倒しやすい方と、倒しにくい方のあることがわかる。

倒角大 不快 倒角小 快適
図3 図4

このように、体を全身的にまたは部分的に動かして、動かしやすいか動かしにくいのかを調べることを「テスト、動診、運動分析」といいます。
動きやすいということは「その動きは安全である」、ということにもなります。
テストは、動き方が大きい(図3,倒れ方が大きい)ことよりも、動き方は小さくとも、動きやすいと感じる(図4,倒しやすい)ことを優先します。

2.快の動き

快、または快の動きとは、次のことをいいます。

  1. 動きやすい方へ動く、動きやすい動き方をする、楽な方へ動く、痛くない動きをする、痛みら逃げるように動くなど、動き方を言い表したもの。
  2. 動くと気持ちがいい、動きが快適だ、といったように動きそのものが気持ち良く感じること。 または動かなくても心地よく感じている、体が気持よく感じることなど、快適さを言い表したもの
  3. 自然な動き・自然な動きの雰囲気・自然な動きの兆しなどを感じること。快、または快の動きとは、動き方を示したもの。

このように、快、快の動きとは「動きやすさ、心地よい動き、動きが心地よく感じる、心地よく感じている、体が自然に動きそれが心地よい、自然な動きの兆しが生まれる」などのことをいいます。

3.動き

ゆっくり動きましょうと言っても、動き方は人によってさまざまです。
その代表例を上げてみると、次のようになる。

  1. 日本舞踊をしている人は、始めからやわらかくゆったりと動く。
  2. 体育系の人は筋力的に力強く動く。
  3. 肥満体の高齢者は、息を止めて一気に動こうとする。
  4. 小中学生はゆっくり動く。
  5. 中高年者は、えっ、ゆっくりですか、といって力で動く。

さすがに、日本舞踊をしている人の動き方は、熟練の感じです。
体育系の人は、体格と体力に自信があるためか、筋力的にいきなり動くこともある。
肥満体の高齢者は、息を止め力を入れて一気に動こうとする。
小中学生はゆっくり動き、中高年者は、えっ、ゆっくりですか、と聞き返しても力強く動くことが多い。

それでも2~3回繰り返していると、皆さんゆっくりと動くようになる。
動きのコツは、最少筋力でゆっくり動くことです。

4.タメ

タメとは、筋力は持続させて、動作を止めた状態にすることをいう。

タメの表現は、1978(昭和53)年の暮れに宮城教育大学の川上研究室(当時、川上吉昭教授・運動生理学)で、操体法写真解説集の出版準備をしていたとき、 久保健教授(体育学)による説明用語の統一を計っていた作業グループが選定したもの。
動かしている筋力は持続して、動作を停止したことが、動きをタメている状態になることから、「溜める(タメル)、とめる(留める・トメル)」の雰囲気を転用したものです。

整体法研究所所長・野口博之氏が「動法と内観的身体(体育の科学、Vol.43.7月号1993,)」の題で載せたものに、 「動法の規範として古人の間の共有せられたものに、キレ、タメ、シメ、シボリ、オトシ等がある。しかしどれ一つとして外観記述を許さない。 それどころかそれを拒むものばかりである」というのを見て、タメはいにしえからの表現であることを知った。

タメは、内側と外側にある。

動かしている筋力は持続して、動作を停止したのがテクニック的(表面的)であるときは、外側のタメ。これこそ野口氏のいう外観記述を許した結果といえる。 動きの中心を腰に求めるようになると、タメは外側から内側へ向かう。
腰に求めたものを意識して、捉えることができると、内側のタメ。

動きに際して腰に中心を置く、または中心を求めるように動き、それを意識することがポイントになる。
その動きが掌、指先、足背、足指といった末端部位でも同じです。

野口氏によると、素直に自らの身体を内観し、その感ずるままに内観から得られる身体像を、内観的身体と定義している。さらに、内観的整体法へと目指している。 体感は、体を感じて動き、さらに感じ続けて、そこから体験されるものを得ようとしているが、同じ方向にあるようだ。

5.ヤメル、力を抜く、脱力

その(1)

著者の前作「操体法の実際」の実技は、瞬間的に脱力している。動きに際して、力を入れないで動くことを指示して、脱力だけ瞬間となる。
つまり、あまり筋力を入れないで動き、力を抜くときだけ「いきなり」ということです。
しかしエネルギー(注)を覚えてから、動き方と力の抜き方がかわってきた。

筋力を入れないで動いたものは、ゆっくり力を抜いた方が痛覚解消の効果が高く、気持がよくてゆったりとした気分になれる。
ゆっくり力を抜く方法は、特に、女性に喜ばれる。図(瞬間と緩慢)

図(瞬間と緩慢)

それでも体型、体質、操作法によっては瞬間的な方が効果的な場合もあるから、方法として必要です。
瞬間脱力を必要とするのは、次のようなケースになる。

  1. 力の抜き方をわからない人、へたな人。
  2. 体力的で、筋肉質な人。
  3. 高齢者で動き方と脱力がわからない人。
  4. 深部の痛みをさぐりだす方法の一つとして。
  5. 瞬間脱力がしやすく、効果的な実技。

動き方と力の抜き方は人によってさまざまだから、動き方と力の抜き方には二つの方法があった方がいい。
また二つ動き方と力の抜き方があるからこそ、新しい動き方も生まれてくるという、相乗と相関の関係もあるのです。

効果的な面から動きと脱力の相性をいうと、仰向けの爪先(足背)そらし・膝倒し・下腿下げなどはやや瞬間の方が合っている。

その(2)

動きの「止め方」において、従来にはない発想がどうしてもいる。
それは「自然に動いた、快適感の兆し(肉体的には動かないが、内面的に動きが生じる、動きを感じる)」ものをトメルときの表現が、できていないためです。
自然な動きは、筋力の動きではないから、脱力という言葉は当てはまらない。
また快適感の兆しは、エネルギーの「働き」によるものだから、脱力という表現はふさわしくない。
当てはまらなくて、ふさわしくないとすれば、それは適していないということになる。

これは筋力による動きと、自然による動きの決定的な違いです。

体感の実技では、SEが本人に「息を吐きながら・動きをヤメテ、ゆっくり力を抜いて」と指示する。
脱力するときは「力を、ゆっくりと、脱力する」というように、ゆったりとした雰囲気になるようにする。

橋本先生の記述に、「脱力が瞬間なほど効果的であって、いくら矯正位置をとらせても徐々に力を抜いたのでは元の不正通りになってしまう(正体の歪みを正す、P66)」とある。 いろいろやってみると、どうも、そうとばかりはいいきれないようだ。
息を吐きながらゆっくり動きを止めるのには、呼吸と動きを意識しなければできない。
意識した呼吸と動きは、エネルギーを高め感覚を呼び起こす働きがあるので、治癒力が高まるため感覚と体型の調整がすごくはっきりしてくる。

そして意識した呼吸は、内面性に静けさを呼び起こす働きもある。
呼吸による心身への好影響や効用については、先人たちが経験していて、それ故に武道、舞い、瞑想法、精神統一などで実践されてきた。

先生は常々、『俺から盗んで、いろんなものとくっつけたり省いたりして、新しいやり方にしろって言ってるんだ。今のままでは進歩してないってことだからなぁ~』 であったから、著者はその約束を少し果たせたようだ。

6.効果の表れ方

歪みが発生すると、感覚、形態(体型)、動きに影響をおよぼす(歪み参照)。歪みが戻るとまず感覚が正常化する。 次に、形態と動き方が改善されるため、その変化に注目すると、改善されたかどうかがわかる。

効果があると、動かなかったものが動くようになり、動きの小さかったものが大きく動くようになってくる。いわゆる、運動範囲の拡大です。
そうすると、テストで倒れ方が小さいというのが、大きく倒れるようになるので、その変化が改善の目安になってくる。

快の動きをすると、痛い、苦しいが解消され、体型が元に戻り動き方が正常になってくるということです。
しかしそれは、あくまでも快の動きをした結果であって、体型を直すという目的で動かしたわけではありません。

傾いた体型の人がいても、その形をなおすという考えはなく、あくまでも動きやすさを求めて、感覚の正常化を行うだけです。
ですから体感の説明に「形を直す、体型を治す」という文字は使っていません。

7.呼び方

その①・本人と操者

これも、タメと同じく操体法写真解説集の製作時に採用したものです。

操体法は体を感じて動くので自力です。
自力であれば解説書を見ながら、自分で治すこともできる。動かし方を経験している者が説明すれば、電話のやりとりでも良くなる。

著者は、電話の経験者です。
ただし、電話のやりとりですから、簡単なものでも1時間くらいかかることを覚悟して。

これからはE・mailでやりとりして良くなり、その方法をホームページで公開ということにもなるのでしょう。そうなると表示は本人か、あなたとした方が適している。

さらにそれで治るのであれば、微妙な体の動かし方が、本人に伝わったということです。まさに「体の動かし方を誘導し、操る」です。
そのことからも、本人と操者としたことは正解でした。

その②・本人とSE

ところが体感では、体の動きでエネルギーを発生させて効果を得ています。つまりエネルギー効果です。 エネルギーの効果には「自然な動き、快の兆し」というものもあります。

ですから、体感の指導を可能にするのは、まずエネルギーを体験することです。 そしてエネルギー体験を深める中で「自然な動き、快の兆し」などを経験して、エネルギーの本質の理解が起きる時を迎えるのです。
それで、初めて、エネルギー的体の動き方を学ぶことができるようになります。

こうなると体験し経験する質的なものは、単に身体を操るという範囲を越えていて、レベルの高いものです。そうなると、体感を指導するための新たな表現が必要です。

そこで体感を指導し誘導する人をSE(SOUTAI EXPERIENCE,動きを経験した人、よく理解している人の意味)と名付けたのです。

8.姿勢

立位における楽な姿勢の作り方は、次のようになります。

  1. 壁か柱に後頭部、背中、臀部をつけて、踵は柱から2~3cm(指2本分くらい)離れて、フクラハギは柱につかない。図1
  2. 腰椎部分は掌か握りこぶし一つ分離れる。
  3. 体の力を抜いて構える。
図1

平面部に体のつくところと、離れるところがハッキリしている立ち方です。
そして必要最小限の起立力ですらっと立ち、安定して気分的にスッキリしているということです。

そのためには、まず足の健康を保つことが基本で、次に床面に足底が均等について、足圧がアーチ部をはさんで前後に別れるようになることです。 図2

図2

姿勢作りの指導に、柱に踵をつけるというのもありますが、それは鍛練的姿勢作りの方法で、間違いとはいいませんが、子供向けの望ましい姿作りとはいえません。
腰椎部分が平面部から完全に離れるようになるのが理想で、特に若い人ではこぶし一つくらい離れることはザラです。 初々しい姿の見本です。高齢者も掌分くらい離れていると、若々しく見えるようになります。つまり、腰にそり(生理的湾曲)ができる体型が、理想的な姿勢ということになります。

両足を腰幅くらいに開くと、楽に立つことができるので体が安定します。楽に立つためには歪みを解消して構造的なバランスを保つことです。
両足を腰幅に開いて立ったときの前後の重心位置は、踵から51~53%辺り(図2)ですが、その姿勢を真横から観察すると、 体型はリラックスして柔らかい雰囲気をうける立ち姿になっている。

9.形態観察・体観

形態観察は古代から行われていた観察法の一つです。

キバはタクト状のもので体を観察したという。
形態とは、ありさま・様子・形のことで、世間や医学界がいうところの意味は以下ですが、体感では動きによる形と型も「形態」としている。

形態

ありさま、ようす、かたち。
form・形、形状、形態。
gestalt(ゲシュタルト)
形態。部分に分解できない性質を有する機能単位を形成するほどまとまった現象の一体系。(ステッドマン医学大辞典より)

10.観察法と改善法

操体法における観察方法と一般的な観察法、および各治癒法の原理的なことを載せておきます。

観察法

静止体 運動体 捉え方 観察法
感覚 形態 感覚 形態
感覚異常を訴える 問診・聞診
形態を観察する 望診・視診
感覚異常と形態を調べる 動診
潜在的な感覚異常と歪を観る 動診

○正常  △異常

A~Dはタイプ別にしたもの。
感覚は本人の訴えによるもの。
形態は操者の観察によるもの。

通常、患者はA~Cでくることになる。Dタイプに出会ったときは、テスト(動診)して動かしやすい方へ動くということになる。

改善法

心身の不快感(異常感覚)解消法 原理・作用・効果
薬物塗布・服用・注射、微粒子 化・科学
DNA、骨髄・細胞移植、人工組織 生体、遺伝子
鍼、指圧、カイロ、オステ、物理療法 物理、E作用
冷温熱、灸、炎 熱、物理、E作用
光、同位元素、X線、中間子、磁気磁力線、
超音波、重力波
光、物理、E作用
花、草、木、砂、石、岩石、火山弾 芳香、物理、心理的、E作用
音色、響き、無音、振動 快音、発散・浄化、同調、E作用心理的、
振動
芳香 芳香、物理、心理的
空中遊泳、浮遊 浮遊感、浮揚感、解放感、非接触感
10 急上昇、落下、無重力 浮遊感、浮揚感、G効果、非接触感、
11 密室、密室(+)音、潜水(+)音、液体 圧迫・圧力刺激、音感、心理ゲル状的、
浮遊感、触感

以上は他動
以下は自動

12 動き=ジョキング、水泳、ストレッチ、
運動、ヨガ、型、武道、太極拳、気功
運動、物理、運動、快適、E効果意識、
発散・浄化、心理的
13 ゲシュタルト療法、フィードバック法、
自律訓練、イメージ療法、発狂療法
意識、発散・浄化、心理的、E効果、
副交感神経
14 呼吸法 横隔膜、副交感神経、E体効果
15 発声、ハミング 響き、丹田、E体効果
16 快の動き 快適、運動、E効果、接触感
17 エネルギー、ラティハン(注)、快の兆し E効果

E効果=エネルギー効果

エネルギーによる動きは、サンスクリット語でラティハン(LATIHAN)という。
その意味は「計画されない動き、意図されない動き、動こうとして動いたものではない動き」というもの。
つまり、自然に体が動くということ。

ラティハンの動きには、空気の膜面(空気の層)の上をなめらかに滑るように、微動的に動くものから激しく動くものまで、さまざまなものがある。
そうしてもう一つの動きは、「体は動かないが、内側に動きの兆しが表れる」というもの。動きの兆しは注意深くしていないと気がつかない。

たしかに、ラティハンというのは自然な動きです。
その人にラティハンが起きるということは、「エネルギーを体験する、自然を知る、自然(エネルギー)と自分のかかわりを覚える」ためであって、それぞれの動きにそれぞれの働きがある。

なめらかな動きは痛みや不快感を解消して、ゆるやかな動きは、この動きがいかに心地よいものかを教えてくれるし、激しい動きは心身の汚れを落とすようになっている。
そして、さらに続けていると「自分」がわかりかけてきて、意識性が高まってくる。
ラティハンを経験してから、著者の操体の動き方が少しづつ変化してきた。

ゆるやかな動きは、とにかく気持がいい。
この動き方を操体の実技でできないものかと考えた。
そこで実技の動き方を徹底的に「ゆっくり」にしたところ、ラティハンの微速の動きの心地よさと同じ感覚になってきた。

そこで微速の動きにするのには、筋力は少なくしてゆっくり動くということを心がけるか、ゆっくりと吐く息に合わせて動くということになってくる。

呼吸に合わせて動くのは、年齢や体質に影響をうけて全員ができるというものでもないが、動きの力を抜くのはほぼ全員ができるようになる。
そのようなことを経て、ゆっくりと動き、ゆっくりと力を抜く方法にたどりついた。
体感の動きをしていて、ラティハンで体が動く(ただしゆっくりとしたもの)ようであれば、その動きを楽しむことです。

一人で動く

一人でする体の動かし方です。 静かに息を吐きながら動かす・静かに息を吐きながら動かしつづけている(タメの意味)という、二つの方法があります。動きによる効果については、効果一覧を参照してください。(尻ふりは掲載していません)。

1.尻ふり

図1 図2

爪先をそらせて、踵に腰を乗せた姿勢を「跪坐(キザ)」といいます。
このスタイルで腰を左右へゆっくり動かしていると、5~20秒くらいで足指に強烈な痛みがでてきます。 その痛みは、足指と直結している各部位が機能的・構造的に疲労していることの証でもあるのです。(図3、大まかな関係部位群)
この動きを数日、続けていると、尻ふりによる足指の痛みは少しずつ減少してきて、いずれは痛みから解放されるときがきます。 そうなると、機能的・構造的疲労も解消されるため、体が軽く感じたり、軽快に動くことができるようになってきます。

朝夕の2回、普通呼吸で、腰を左右へゆっくりと動かすことを、約1分続ける
図3 大まかな関係部位群

2.踵・押し出し

図1 図2

仰向けで両足を軽く開く。
踵を左右交互に押し出してみると、押し出しやすい方と、押し出しにくい方のあることがわかります。 それがわかったら、押し出しやすい方の踵を、約20秒間、ゆっくりと押し出すようにして、息を吐きながらゆっくりと動きを止めます。

動いた後は、4~5呼吸休み、もう一度、動くようにします。

3.膝倒し

図1 図2

仰向けで両膝をつけて、両足を軽く開く。膝を左右へ倒してみると、倒しやすい方と、倒しにくい方のあることがわかります。
それがわかったら、膝を倒しやすい方へゆっくりと、約20秒間、倒し続けるようにして、息を吐きながらゆっくりと動きを止めます。

動いた後は、4~5呼吸休み、もう一度、動くようにします。

4.膝・押し出し

図1

仰向けで両膝をつけて、両足を軽く開く。足を動かさないで膝を左右交互に足元側へ押し出してみると、押し出しやすい方と、そうでない方のあることがわかります。 押し出しやすい方の膝を、ゆっくりと、約20秒間、押し出し続けるようにして、息を吐きながらゆっくりと動きを止めます。

動いた後は、4~5呼吸休み、もう一度、動くようにします。

5.腰・左右ひねり

図1 図2

腰を軽く浮かせて、左右へ押し出すように動かしてみる。
押し出しやすいがわかったら、そちらの方へゆっくりと、約20秒間、腰を押し出すようにして、息を吐きながらゆっくりと動きを止めます。

動いた後は、4~5呼吸休み、もう一度、動くようにします。

6.肩・顔の動き

この動き方には、次の二通りがある。

図1 図2
  1. 顔をそらせてから、肩を上げる。
  2. 肩を上げてから、顔をそらせる。

静かに吐く息とともに動く場合には、後に載せてある膝立ての「顔・胸そらし」のように、顔をそらせてから肩を上げた方が効果が高く、心身に響くように効きます。

動き方

  • 息を吸いながら顔をそらし、ゆっくりと息を吐き、そのまま2呼吸続ける。
  • 4呼吸目の吐く息で両肩を上げるようにする。
  • 顔そらしと、肩上げを2呼吸続けて、7呼吸目の吐く息で、顎を戻しながら動きを止めます。

この動き方は一回で十分です。

動きを止めるときは、必ず顎を戻すようにします。

顔をそらしたままで動きを止めると、首を痛める場合があるので、注意しましょう。

7.片胸そらし

図1

胸を左右ごとにそらして、どちらの胸がそらしやすいのかを調べます。
そらしやすい方がわかったら、息を吸いながら片胸をそらします。
約20秒間、そらし続けて、息を吐きながらゆっくりと動きを止め(ヤメ・トメ)ます。

4~5呼吸休み、もう一度、そらすようにします。

8.顔・胸そらし

図1

膝を立てて、顔・胸をそらす動きです。
静かな呼吸とともに動くと、心身の深いところにまで効果が表れるようになっています。
息を吸いながら顔をそらし、ゆっくりと息を吐き、そのまま2呼吸続ける。
4呼吸目の吐く息で胸をそらす。
そのまま2呼吸続けて、7呼吸目の吐く息で、顎を戻しながら胸を下ろす。,br> この動き方は一回で十分です。

動きを止めるときは、必ず顎を戻すようにします。

顔をそらしたまま胸を下ろすと、首を痛める場合があるので、注意しましょう。

9.膝・引上げ

図1 図2

うつ伏せで、膝を左右交互に引き上げてみると、動きやすい方とそうでない方のあることがわかります。
この場合も、動きやすい動き方をします。
引き上げやすい方の膝を、約20秒くらい引き上げる。そして、息を吐きながらゆっくりと動き止めるようにします。

動いた後は、4~5呼吸休み、もう一度、動くようにします。

10.顔・左右旋

図1 図2

顔を左右に向けて、向けやすい方を調べてみると、向けやすい方とそうでない方のあることがわかります。
顔を向けやすい方へ、ゆっくりと約20秒くらい動かして、静かに吐く息でゆっくりと動きを止めます。

4~5呼吸休んで、ふたたび同じ動き方をする。

11.頭・左右屈

図1 図2

頭を左右へ倒してみると、倒しやすい方と、倒しにくい方のあることがわかります。
そこで倒しやすい方へ、頭をゆっくりと約20秒くらい倒して、静かに吐く息でゆっくりと頭を戻します。

4~5呼吸休んで、ふたたび頭を倒すようにします。

12.顔・肩上げ・ 頭・肩上げ

図1 図2 図3

顔の向けやすい方、または頭の倒しやすい方と肩上げの動きを組み合わせたものです。
肩を上げて、10秒くらいのタメを作り(図1)、次に、顔を肩上げの方へ向けて、10秒くらいのタメを作り(図2)、静息でゆっくりと顔と肩を戻す。
肩を上げて、10秒くらいのタメを作り(図1)、次に、頭を肩上げの方へ倒して、10秒くらいのタメを作り(図3)、静息でゆっくりと頭と肩を戻す。

4~5呼吸休んで、ふたたび同じように動かす。

Comments are closed.

Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project. TOTAL TODAY